未来をつなぐ夢はさみ 2009年度 活動報告 vol.3|カンボジアでの美容職業訓練レポート|Special

未来をつなぐ夢はさみ 2009年度 活動報告 vol.3

カンボジアの若者たちが、自分たちの手で未来を切り拓く。



未来をつなぐ夢はさみ 海外美容職業訓練
第3回実施レポート 2009年9月


日時:2009年9月7日(月)~11日(金)

場所:カンボジア北西部バッタンバン「若者の家」

トレーナー:黒木裕勝さん((株)ジャパンプロデュース)、長谷川竜太さん((有)artism)

受講生:19名



子どもたちの未来を応援したい!!

キレイになりたい。カッコよくなりたい。
それは老若男女、万国共通のすべての人々の願いではないだろうか?

そして、美容師という仕事は美容という技術を通じて、その思いに応える、夢を売る職業と言っても過言ではない。

しかし、忘れてならないのは、美容の技術が、美や夢を創造するためだけに存在しているのではなく、「生きるため」の切実な手段として必要としているである人々がこの地球上には存在しているということだ。

日本の美容師が持つ優れた技術力や知識が、過酷な環境、貧困の中で必死に生きるアジアの子どもたちの未来をつなぐ希望になれば・・・・

そんな思いを込めて、1年前にスタートしたカンボジア、バッタンバンでの美容職業訓練“未来をつなぐ夢はさみ”も、今回で3回目となり、少しずつではあるが小さな実を結びつつある。

9月7日~11日の5日間にわたり実施された今回のトレーニングは5月の続編として、前回学んだワンレングスやレイヤーの技術を踏まえ、より高度なテクニックを学ぶことを目的したカリキュラム。
カンボジアの貧困家庭は、住まいが安定しない場合が多く、前回の生徒たち全員が再び参加することは難しいのではないかと懸念された。
しかしながら、うれしいことに前回参加した生徒16人全員に加え、新たに3名の参加者が加わり、合計19名の生徒が参加した。
トレーナーは(株)ジャパンプロデュースの黒木裕勝さんと(有)artismの長谷川竜太さん。
もちろんこの活動主旨に賛同してのボランティア参加である。

トレーニングを開始すると、すぐに前回のトレーニングで学んだことが、個人差はあるものの、しっかりと生徒たちの身に付いていることが確認できた。
前回参加した生徒たちは全員ワンレングスやレイヤースタイルをなんなく切り進めることが出来たのだ。
前回のトレーニング後、彼らは何度も何度も練習を重ねたに違いない。

1日目、2日目のテーマはグラデーション。
レイヤーとの違いを理解してもらうのは、なかなか難しい。
言葉ではうまく伝わらないため、トレーナーの黒木さんが図を書いて丁寧に説明。
時間はかかったものの、ようやくその違いを理解してくれたようだ。
その後のウィッグを使用した実習では、しっかりとグラデーションスタイルを仕上げることができた。やはり、はさみの動かし方やコーミング、ブロッキングなどの基本技術が身についているので上達は早い。

3日目~4日目にかけては、モデル実習も織り交ぜながら、メンズカットを学んだ。
カンボジアでは、女性の髪は女性美容師が、男性の髪は男性美容師がカットするのが、昔からの風習だそうだ。しかし、ここ最近は時代の流れとともに、女性が男性の髪を切る機会も増えてきているという。シザーとコームを使って刈上げる作業に多くの生徒が苦戦。
最初は虎刈りのウィッグがたくさんできあがってしまったが、トレーナーの動作を真似て、反復練習をするうちに、上手に仕上げることができるようになってきた。
カンボジアの生徒たちのもの覚えのよさにトレーナーも感心しきり。

モデル実習では、「若者の家」で暮らす男子や、近隣のコミュニティで暮らす子どもたちがモデルになってくれた。年ごろの男の子たちはみんなオシャレに敏感。ヘアスタイルに強いこだわりを持つのは世界共通のようだ。トレーナーの2人が、これまでに学んだテクニックをわかりやすく組み合わせ、モデルたちの希望するスタイルの切り方を丁寧に指導。
一生懸命に希望のスタイルを創ろうとする生徒たちの真剣な表情と、モデルの男の子たちのはにかんだ笑顔。心を込めて仕上げたスタイルには、カットする側、される側、双方の明るい未来が秘められているような気がした。

最終日には修了証書の授与式とトレーナー二人とのお別れ会が開かれ、トレーナーの黒木さん、長谷川さんから生徒たちに次のような言葉が贈られた。

黒木さん
「美容師として、一人前になるには、まだまだ学ばなくていけないことがたくさんあります。皆さんの美容師になるという目標にむかって、努力することを忘れないでください。5日間という短い時間ではありましたが、私自身、皆さんと出会うことができて、非常に楽しかったし、この出会いを大切にしたいと思います。」

長谷川さん
「夢を持ち続けること、そして、その夢にむかってがんばるということを忘れないでください。そして、もし、美容師になったら、髪を切り来てくれるお客さんや、これまで自分をサポートしてくれた周りの人、家族や友人に感謝の気持ちを忘れず、いつも愛情をもって接してほしい。」

修了証書が2人のトレーナーから手渡されたあと、生徒全員が2人のトレーナーに感謝を伝えに来た。全く言葉が通じなくても、彼らのトレーナーに対する尊敬と感謝の気持ちはしっかりと伝わる。不思議なもので、トレーニング中、通訳はほとんど介在しなくても、ジェスチャーと表情だけでコミュニケーションはしっかりと成立していた。
美容技術は国境も、文化も言葉の壁さえも越えることができるのだ。
そのことは、美容を通じて未来をつなぐという共通の夢を持ったトレーナーと生徒たちの間に決して絶えることのなかった笑顔が証明していた。